1990年代から流行したとんこつラーメンから始まり、今まで濃厚系、魚介系が流行し、近年は端麗系ラーメンが人気を呼んでいる日本のラーメン文化。
「しらべえ」の調査※によると、日本人の20~60歳までの男女のうち6割が週に一回はラーメンを食べているとのこと。
そのうち男性の4割は週に2回以上ラーメンを食べているという結果も。控えめな言い方をしても、ちょっとラーメン食べすぎですよね。
一体全体、日本人はなぜこんなにラーメンが好きなのでしょう?
幼少期からラーメンで育ってきた、特異な環境で生活していた筆者なりに考えてみました。
※しらべえ「日本人のラーメン好き度を大調査 週1回以上食べる人の割合は…」
日本人は本来麺類が好きだから
日本の麺類、蕎麦・うどんはラーメンよりも遥か昔から私たちの食文化に定着していました。
うどんや素麺もかなり昔からありますが、蕎麦は奈良時代より前からあったと言われています。
そんな昔から先祖代々慣れ親しんできた麺類文化の日本で、ラーメンを受け入れないはずがありません。
奈良時代や平安時代に材料調達さえ整っていれば、きっとその頃からラーメンも取り入れられたのではないでしょうか。
日本が「醤油の国」だから
日本人のラーメン好きの根本にあるものは、醤油の美味しさを知り、醤油を愛してやまない民族だからという背景があります。
もちろん醤油を使わないラーメンは存在していて人気があるというのは承知の上ですが、出汁にこだわったスープと醤油の相性が抜群だったことが、日本でラーメン人気を起こした大きな理由となっています。
スープは味噌との相性もいいですし、そういった調味料に恵まれた環境にあったこともラーメン普及の大きな背景です。
箸で食べるスタイルに慣れているから
熱いスープに浸した麺類料理があるのは、箸で食べる国の文化なので、特にアジア圏には多く見られます。
ベトナムのフォーやマレーシアのラクサ、どれもフォークとスプーンで食べられなくもないですが、箸に慣れている民族ならではの料理ですよね。
音を立てても気にしない、気軽に食べられる食文化だから
ヌードルハラスメントと言う言葉がありますが、箸で物を突き刺すなとかやたらと細かいことにうるさい日本人が、なぜか蕎麦やラーメンだけはすすってもいいというのは、海外の人には理解しがたいですよね。
でもむしろ作り手などからしたら、その方が美味しそうに食べているように見えると、むしろ思春期にすすらずに食べていたら親から注意されたものでした。
外国人に対してすすって食べろとは強制したくないですが、ラーメンや蕎麦だけは「美味しさ優先」で食べる文化なのだということは理解してもらえたら嬉しいですよね。
平成では女性が単身でラーメンを食べることが当たり前になったので、そういう意味でも気軽に利用できるスタイルが、ラーメンが愛される要因にもなっています。
日本のラーメンは美味しいから
元は中国生まれのラーメンですが、中国のラーメンと日本のラーメンは味が違って、日本のラーメンが日本人好みで美味しいというのは周知の事実。
麺類が大好きな日本人は、とにかく美味しくて自分たち好みのラーメンを作ろうと、特にスープづくりにはかなりの手間暇をかけ、コクがあって深みのあるスープを作り出しました。
そういう熱い思いを持っているラーメン職人が日本には溢れていて、国内各地がほぼ激戦区状態。
常に美味しいものだけが残っていく状態となって、ますます美味しさに磨きがかかりました。
今やラーメンは日本の国民食となり、「ramen」と言えば大体の外国人も日本のラーメンのことだと理解できるようになっているんですよ。
ラーメンの種類が多く、常に新しい文化が生まれているから
喜多方ラーメン、家系ラーメン、油そば、つけ麺、台湾ラーメン……。数え上げればきりがないバリエーションの多いラーメンの種類。
地方で流行ったラーメンは上京して全国に広まり、常に新しいラーメンの話題が絶えません。
例え一つの味に食べ飽きても、全然違う味のラーメンを探して食べることができるので、探求心をくすぐり続ける業界です。
どこかに自分の好きなラーメンは必ずあるという、婚活よりも探索のしがいがあるところが、世の男性・女性を夢中にさせてしまう要因かもしれません。
不景気でもラーメンは強いから
「不景気でもラーメン店は強い」とよく言われています。
もちろんすべてのラーメン店に当てはまるわけではないですが、不景気で外食を控える風潮にあってもラーメンは食べにいく、むしろ外食の機会が減る分ラーメン店に行く傾向があるからだと言われていました。
確かにラーメンなら居抜きでも、夜にしか営業しないバーを昼間だけ貸してもらうヤドカリスタイルでも営業できますし、新規でも固定費を抑えようと思えば抑えられるんですよね。
それがラーメン「ブーム」にならずに、ずっと私達の生活に密着してきた理由の一つとなっています。
塩、油、うま味には脳に快楽を与える中毒性があるから
ラーメンを食べた次の日に、またラーメンが食べたい衝動に駆られることありませんか?
それは「ラーメン中毒」と言って、特にクセが強いラーメンに対して起こりやすい症状です。
アルコールでもタバコでもないラーメンなんかに中毒なんてあるかと思われるかもしれませんが、実際ラーメンに含まれる塩分、油脂、うまみ成分は脳に快楽を与えるので中毒性があると言われています。
そういった人たちが、週に何度もラーメン店を訪れる熱烈なファンになってラーメン業界を盛り上げているのです。
どこに行ってもラーメンがあるから
日本国内のラーメン専門店は一説によると26,500店ほどあると言われています。
国内にある駅の数が1万未満なのでこれだけでもかなり多いと思うのですが、ラーメンはラーメン専門店以外にも中華料理店やファミリーレストラン、食堂でも売られていますよね。
図書館や動物園、大学、サービスエリア、大体どこでもラーメンはあり、インスタントラーメン、カップヌードルとしてコンビニやスーパーでもどこでも買えます。
逃げても逃げてもラーメンは先回りして追いかけてくる状態です。
見かけない日はないという状態であれば、今日はラーメンを食べてみようかなという気にもなりやすく、中毒者でなくてもそこそこの頻度でラーメンを食べるようになります。
メディアでラーメン特集をするから
過去にテレビで視聴率が取りやすい三大企画として「動物」「子供」「ラーメン」と言われていたほど、日本人はラーメン番組が大好き。
人が食べている姿を見ると、ラーメンを食べたくて仕方がなくなり、次の日にはラーメンを食べにいってしまう人も少なくないのではないでしょうか。
最近はUber Eatsでもラーメンを運んでくれますし、国民食であるラーメンは、ますます豊かになって色々楽しむことができるようになっていますよね。
コロナの自粛が長く続いてしまって、なかなか足を運べていないラーメン店が大丈夫なのか心配な毎日ですが、ラーメン職人の皆さんはご自身の安全を確保して、この危機を乗り越えていってほしいです!
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