それぞれの違いと特徴
トド・セイウチ・ アザラシ・アシカ・オットセイの見分け方と特徴、それから英語でそれぞれなんというか、漢字でどう書くか、すっと頭から出てきますか?
こちらの記事ではそれぞれの名前の由来から、見分けの覚え方やポイントを紐づけて紹介いきたいと思います。
最後に野生の海獣たちを見るおすすめスポットや水族館も紹介しますね。
まずは最初に外見での違いを簡単にまとめてみました!
読み進める前に、まずは①~⑤が何にあてはまるか考えてみてくださいね。
以下は上の「海獣一覧」の答えと外見の特徴になります。
①は<セイウチ科・セイウチ>です。象のように大きくて牙があり、迫力があるのが特徴ですね。起き上がることや四足歩行はできますが、前足だけ使って氷の上を滑るように歩くことが多いです。
②~④は共通点があるのですが、お気づきになりましたか?まずその共通点から解説しますね。
②~④は<アシカ科>の海獣です。ヒレ状の前足を使ってL字型に起き上がることができ、4足歩行をするため後足のヒレは前向きです。耳たぶがあることも特徴ですね。
アシカ科の海獣はアシカ、トド、オットセイです。
②は<アシカ>です。スベスベした肌が特徴で、ボールを鼻にのせるなどの曲芸が得意。アシカショーでよく見かけるおなじみの海獣ですね。
③は<トド>です。アシカ科の中では一番大きくてずっしり豊満なのが特徴です。
④は<オットセイ>です。アシカとフォルムがよく似ていますが、少し小さくて、耳たぶが長くビロードのような毛並みが特徴です。
⑤は<アザラシ科・アザラシ>です。耳は穴のみで耳たぶがありません。L字型に起き上がれず、陸上は這って移動します。後足が前向きにならないのが他と一番違う特徴です。
全部当たっていたでしょうか?それではそれぞれの特徴を語源や英語での表現から解説していきたいと思います!
セイウチの見分け方と特徴
セイウチは英語で「walruses」です。「squirrel(リス)」と同じく、LとRが重なる日本人が覚えにくい単語ですよね。
なぜセイウチと呼ばれるのかというと、ロシア語の「 сивуч(シヴーチ)」から来ています。でもシヴーチってトドの意味なんですよね。つまり、それだけ体格が似てるってことで。
漢字では「海象」と書くので、このイメージから入ると見分けしやすいと思います。象のように大きくてキバがあるのがセイウチです。体重は1000キロ、キバは1メートル近くあります!
北極海に住んでいるので、キバを使って歩く時のピッケル代わりにすることもありますよ。
セイウチは基本前足を使ってお腹を氷に滑らせて移動しますが、後足を使って四足歩行のような動きをすることも可能です。
アシカの見分け方と特徴
アシカは漢字で「海驢」と書きます。「驢」はロバの意味なので、海にいるロバという漢字ですね。どんな見方をしてみてもロバには似ていませんが。
アシカという名前の由来は一説によると、葦(アシ)にいる鹿から来ていて「葦鹿」という漢字が使われることもあります。鹿にも全然似ていませんよね。
アシカは英語で「sea lion」です。海のライオンのように鳴き声に迫力があることからそう名付けられています。
またライオンも一夫多妻制ですが、アシカも一夫多妻制です。アシカ科とセイウチ科は一夫多妻制で「ハーレム」の群れをつくるのが特徴となっています。
アシカ科はヒレのような前足があり、L字型に起き上がることができ、4足歩行をするため後足のヒレは前向きになっています。また耳たぶがあることも特徴です。
アシカの一番の特徴は芸達者なこと。でも実はアシカととても良く似ているオットセイも芸達者なんですよ。
アシカの方が食いしん坊でエサを食べるためによくがんばるので、ショーでよく見かけるようになったと言われています。
アシカとオットセイはよく似ていますが、アシカはスベスベした肌が特徴です。近くでよく見ると毛が生えています。
トドの見分け方と特徴
アシカ科の中でセイウチとフォルムがよく似ているのが「トド」。ずっしり豊満なボディが特徴です。
日本では北海道で野生のトドが住んでいますね。漢字では「魹」とか「胡獱」などと書きます。
「魹」の漢字の由来は、一説によるとオスにたてがみがあるからと言われています。
ここからは筆者のただの推測ですが、アイヌ料理などでトドが食べられていることから、毛のある魚として漢字がなりたっていったのではないでしょうか。
「胡獱」についての由来はよくわかっていません。「胡」はあごひげの意味もあるのでその辺りからきた当て字なのではないかと推測します。
トドという名前の由来は、一説によるとアイヌ語のなめし皮という意味のトントが語源とのこと。
英語で言うと、アシカと同じ「sea lion」なのです。というのは、トドはアシカと同じ「アシカ科」だから。
細かくはSteller sea lionもしくはNorthern sea lionなどと呼ばれるのが一般的のようです。
Stellerという名前は、ドイツ出身・ロシアのナチュラリストGeorg Wilhelm Steller氏が名付けたからです。
オットセイの見分け方と特徴
トドもアシカ科でしたが、「オットセイ」もアシカ科です。 漢字では「海狗」 「膃肭臍」と書きます。どちらも中国由来の漢字です。
「狗」はイヌ科の動物を言います。アシカ・アザラシは「海の犬」と呼ばれるほど人懐っこいので、この漢字はしっくりきますね。
もう一つの漢字「膃肭臍」は日本人にはちょっと難しいですよね。これ、実は漢方薬から来てるんです。
元々オットセイはアイヌ語で「オンネウ」と呼ばれていて、中国商人の方々が超えて太っているという意味の「膃肭」という漢字をあて、陰茎を臍(へそ)と呼んで漢方にしていたことからこの漢字が生まれたという説があります。
日本でも江戸時代から精力剤として飲まれていたそうですよ。そんな語源で呼ばれているなんてちょっと気の毒ですけどね。
オットセイもアシカ科なので英語では「sea lion」です。なのですが、細かく言うとなぜか「fur seal」、「eared seal」と呼ばれます。
「seal」は一般的にアザラシ科を指すので混乱しますが、「seal」自体に海に住む肉食哺乳類という広い意味もあるので、そう呼ばれているようです。
オットセイはビロードのように柔らかい毛並みと耳があることがポイントなので、「fur seal」はその特徴を活かした言葉です。
またアシカ科には耳があるのが特徴ですが、オットセイの耳が一番わかりやすいので「eared seal」と呼ばれることもあります。 場合によっては 「eared seal」はアシカ科全般を指すこともあります。
ちなみにオットセイもアシカ科なので一夫多妻の生活を送り、悲しくもメスの取り合いに敗れたオスたちは集まって集団生活をします。
そういった背景もあり、エサとしているペンギンに交尾をするオットセイもよく目撃されています。
ペンギンとオットセイの子供も存在するのかというとそうではなく、オットセイが哺乳類であるのに対して、ペンギンは卵から孵化する鳥類という全く違う種類なので、そういったことはないようです。
またペンギンは交尾の後に食べられてしまうケースも多いというのが現実です。
あんなかわいいペンギンを食べるなんてと思ってしまいますが、実は次に紹介するアザラシなどもペンギンを捕食します。
アザラシたちにもシャチなどの天敵がいるわけで、食べるのも食べられるのも弱肉強食の自然界ありのままの世界が息づいています。
アザラシの見分け方と特徴
アザラシは漢字で「海豹」と書きます。アザラシには斑点模様があるものがあり、それが豹(ヒョウ)に似ていることから来ているようです。
真っ白でフサフサのアザラシを見たこともあると思いますが、それは赤ちゃんの状態なので、成長すると毛が抜けていきます。
アザラシの斑点を痣(アザ)として、アザラシという呼ばれ方になったという説も。
アザラシは大人になると水の中で生活していることが多く、一方でアシカ科は陸上で生活していることの方が多いのも大きな違いです。
またアザラシは一夫一妻の種類もいれば、一夫多妻の種類もいます。
英語では「seal」ですが、アシカ科と比べて耳がないことから「earless seal」と呼ばれることもあります。
外見の特徴として一番わかりやすいのは「少年アシベ」に出てくるゴマフアザラシの赤ちゃん「ゴマちゃん」を思い出せばわかりやすいです。
赤ちゃんなのでまだ斑点が見えていませんが、アシカなどと違ってL字型に起き上がることができずゴロゴロしています。
アシカは歩けますが、アザラシは這って移動します。ゴマちゃんもよくアシベに担がれて移動してますよね。
現在「少年アシベGO!GO!ゴマちゃん」はEテレで毎週土曜日、朝9時20分から放送されていますよ。
かわいい海獣たちに会いに行くおすすめスポット
ではここからはかわいい海獣たちに会いに行くおすすめスポットをいくつか紹介したいと思います。
もし都内でアシカを見に行くなら、池袋サンシャイン水族館がおすすめです。
2017年にリニューアルオープンしたサンシャイン水族館では、アシカが都心の空を泳ぐように見える「サンシャインアクアリング」があり、晴れた日はアシカが気持ちよさそうに空を飛んでいるかのように見えます。
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間近でみられるアシカショーも人気ですが、何よりサンシャイン水族館のリニューアルは本当に革新的で見事なので、まだリニューアルしてから行っていない人は見に行ってみてはいかがでしょうか。
都心の良さを活かした「空飛ぶペンギン」など画期的で斬新なアイデアが見られ、ぜひ行ってみてほしい水族館の一つです。
また国内で野生のトドやアザラシを見たい人は、北海道に行けばみることができますよ。
野生のトドは北海道の西側・積丹半島(しゃこたん)などで見られます。12月中旬から5月まで見られるトドウォッチングの中で人気なのがダイビングツアー。
トドの至近距離で一緒に泳ぐことができるとても魅力的なプランなのですが、ピークと言われるのは1月で、とてつもなく寒いです。
それでも積丹ブルーの海では美しい海中景観が広がり、トド以外にも珍しい海中生物が多いので、生涯の中でも忘れられないダイビングツアーになることは間違いないです。
もちろんクルーズツアーもありますが、風のせいなのか水に入ってしまった方が寒く感じないので、ダイビングに慣れてる方は潜ってしまった方がいいのかもしれません。
積丹でもアザラシが現れることもありますが、北海道の東・野付半島と知床、南側のえりも岬やオホーツク海沿岸では、比較的高確率で野生のアザラシを見ることもできますよ。
野生の海獣たちに会いに行くのは、大自然を満喫することもできますし、何よりその生物がどんな環境で生活しているのかを肌で感じることができるのが大きな魅力です。
さらに海外まで足を伸ばせば、野生の海獣たちと出会える機会ももっと広がります。
筆者は以前ガラパゴス諸島とオーストラリアのカンガルー島で野生のアシカ達が群れになっているところを見に行ったのですが、その光景が目の前に広がった時は体中に感動が広がりました。
ガラパゴスには「アシカ島」と呼ばれるくらいガラパゴスアシカがとても多い島(サンクリストバル島)があります。むしろ犬みたいにたくさんいるので、そのうち見慣れてしまうくらいなのですが。
もう一つ筆者が感動したオーストラリア・アデレードから近いカンガルー島は、オーストラリアンアシカやニュージーランドオットセイの生息地となっています。
カンガルー島もアシカ以外の野生動物が多く見られるとても魅力的なところなので、また改めてサイトで紹介させてもらいますね。