一世風靡したパンケーキブームを振り返ってみる

先日、Holiday Talkでスイーツブームヒストリーを振り返ってみましたが、今回は長いブームを誇ったパンケーキブームを掘り下げてみます。

いろんなお店が流行りましたが、どこのお店のパンケーキが一番インパクトがあって、満足度が高かったですか?

記事には色んなお店が出てくるので、当時の自分を振り返りながら読んでみると懐かしいですよ。

スイーツブームの歴史に関する記事は以下のリンクから読んでみてくださいね。

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パンケーキ

流行の発端は2008年の「bills(ビルズ)」オープンから

2008年、「世界一の朝食」という輝かしいキャッチコピーで日本に上陸したオーストラリア・シドニーの「bills(ビルズ)」。

ただ忘れている人も多いと思うのですが、NYタイムズが「世界一」と評したのはスクランブルエッグパンケーキではありません。

世界一のスクランブルエッグは、上品すぎて日本人にそこまで響いていませんでした。

それよりも、今まで見たことのないフワフワのリコッタパンケーキの方が、並ぶ価値があると大人気になりました。

billsのすごいところは、当時シドニーにしか店舗がなかったのに、ゴールドコーストやケアンズなどを差し置いて、日本に海外初出店を決めたことです。

しかも東京都内ではなく、鎌倉七里ヶ浜。海が見えるという最高のロケーションで話題は沸騰。2010年には第2号店を出店します。

次はいよいよ東京かと思うも、2号店は同じ神奈川県内の横浜赤レンガ倉庫

ロケーションにはかなりこだわりがあったようで、2010年東京初出店もシーフロントのお台場でした。

パンケーキの聖地でもある表参道に店ができたのは2012年のことです。

パンケーキブームの仕掛け人はこの人たち!

billsを七里ヶ浜にオープンさせたのは、PR会社サニーサイドアップの社長である次原悦子氏とトランジットジェネラルオフィス社長の中村貞裕氏です。

元々は七里ヶ浜にカフェをオープンさせる店を探していて、次原氏がすごくおいしいカフェがシドニーにあると中村氏に紹介し、現地まで食べに行ったことで決まった案件なのです。

中村氏はその経験を活かして、台湾かき氷のICE MONSTER(アイスモンスター)、NYの「 DOMINIQUE ANSEL BAKERY(ドミニクアンセルベーカリー)」、イスラエルのチョコバー「MAX BRENNER(マックスブレナー)」を日本にオープンさせました。

既に店は撤退はしていますが、オープン当初は大人気で一世風靡!日本のスイーツ史には欠かせない人物ですね。

2010年にハワイのEggs’n Things(エッグスンシングス)が初上陸

パンケーキが注目されつつある段階でハワイから上陸したのが「Eggs’n Things(エッグスンシングス)」です。

ハワイといえば日本人が大好きな旅行先の一つ。ハワイでも日本人で大人気だったエッグスンシングスですから、勝算あっての上陸。

最初の出店を表参道に近い原宿にして、絶えず行列を見せつける状態となりました。

ちょうどFacebookやTwitterで写真をアップする習慣が定着し、エッグスンシングスの見た目の迫力はSNSと相性がよく、長いヒットとなりました。

パンケーキ以外のハワイアン料理も食べられるのも魅力で、エッグベネディクトをエッグスンシングスで初めて食べたという人も多くいたようです。

Eggs’n Things人気はランニングブームとも関連

一見関係性がなさそうなパンケーキとランニングの組み合わせですが、パンケーキブームはマラソンブームがあったことも大きく関連しています。

ランニングブームは2007年東京マラソンが開催される少し前から始まっていて、皇居ランから始めたOLが初めて参加するフルマラソンにホノルルマラソンが選ばれていたのです。

ホノルルマラソンには基本的に時間制限がなく、メディアでも大きく取り上げられており、一生に一回経験するならホノルルマラソンと決める人が多かったんですよ。

CanCamモデルだった長谷川理恵、タレントの安田美沙子などもホノルルマラソンに参加し、美容のためにランニングを趣味にするという女性も多かったのです。

そんなランナーがハワイへ行って、マラソンでカロリーを消費するなら、自分へのご褒美に高カロリーなスイーツを食べてもいいだろうと足を運んだのがエッグスンシングスなどのお店です。

他にもコールドストーンクリーマリーや、チーズケーキファクトリーなどが、ホノルルマラソン参加記念のご褒美スイーツとしてあげられます。

帰国した日本人ランナーからは既に評判が高かったですし、現地で味わったパンケーキをもう一度食べたいと足を運ぶ人もいました。

例え3時間並ぶとしても、わざわざハワイへ行って食べることを考えれば並んだ方が楽ですからね。

ちなみにホノルルマラソンは仮装して走ってもOKで、コスプレブームとも相まって人気を高めていきました。

ニューヨークスタイルのパンケーキ「Sarabeth’s(サラベス)」も人気に

パンケーキブームの長期化は、外資系パンケーキカフェが時間差でオープンしていったことも背景にあります。

2012年にはNYの「朝食の女王」と呼ばれる「Sarabeth’s(サラベス)」が上陸します。

日本では2007年から放送された大人気のアメリカドラマ「Gossip Girl(ゴシップガール)」のロケ地だったこともあり、出店前から話題となっていました。

サラベスはルミネ新宿に1号店を構え、その後は敢えてメッカといわれる表参道を避けて店舗展開を進めていったのが特徴的なところ。

ルミネ新宿は2013年に自分でパンケーキを焼くスタイルの、オレゴン州「Slappy Cakes(スラッピーケークス)」 もオープンさせてパンケーキに力を入れていたんですよ。(2016年に閉店)

サラベスはパンケーキだけでなくフレンチトーストブームにも火をつけ、他にもエッグスラットアボカドトーストなどアメリカの朝食文化を紹介してくれるお店でもありましたね。

数々のパンケーキ店が原宿・表参道に集結

原宿・表参道エリアには、アメリカ「クリントン・ストリート・ベイキング・カンパニー」や「ブルックリンパンケーキハウス」(閉店)もオープンしました。

パンケーキは海外店の影響は大きかったですが、ブームとなったのは海外店だけに留まりません。

日本勢も頑張っていて、表参道エリアでは「カフェカイラ」(移転済み)や「レインボーパンケーキ」などにも行列が見られました。

表参道は他にもアップルパイの「グラニースミス」や既出の「マックスブレナー」、「アイスモンスター」、「ドミニクアンセルベーカリー」など、当時は数々のスイーツ店がオープンしていたんです。

原宿・表参道に出店するというだけで注目されましたし、SNSの効果もあって流行に敏感な人により情報が発信されていくというエリアでもあったということが大きな背景となります。

パンケーキブームが長く続いたのは、主要なパンケーキブームの火付け役達がパンケーキ専門店でなかったこともあげられます。

大体どの店も「朝食カフェ」や「ハワイアンカフェ」なのです。

パンケーキだけを販売していると、パンケーキに興味のない男性とはデートで一緒に行けませんし、ブームが去れば夜にパンケーキを食べに行こうとはなりません。

他のメニューをやっていることで店自体が長続きし、それがパンケーキブームの持続に繋がったと言えるでしょう。

パンケーキの進化系が流行

パンケーキブームの後半は進化系のパンケーキが流行りとなります。

ダッチベイビー

2013年、吉祥寺にオープンしたアメリカの老舗「オリジナルパンケーキハウス」は、オーブンで焼いたドイツ風パンケーキ「ダッチベイビー」を看板メニューとし、話題となります。

2015年には原宿にも店舗を出して、パンケーキブームの長期化を見せつけてくれました。

かわいらしい見た目と、シュー生地のような食感が斬新なパンケーキは、今は東京以外でも食べることができるようになっています。

幸せのパンケーキ

また2015年には、大阪で先に人気となった「幸せのパンケーキ」が、表参道に出店します。

分厚くてフワフワなパンケーキは女性達の心を掴み、店の前にはやはり行列ができていました。

スフレパンケーキ

2015年には、表参道に幸せのパンケーキよりさらに厚みがある「スフレパンケーキ」を出す「バーンサイドストリートカフェ」がオープンしました。

大阪・京都・名古屋で既に人気だった「elk(エルク)」がオープンしたカフェです。

気づけば2008年にbillsがオープンしてから7年!パンケーキブームが始まって既にかなり長い歳月が経っていたのです。

パンケーキが大流行した理由

パンケーキが流行った理由、ブームが長く続いた背景についてまとめてみます。

  • 海外人気店の上陸、国内への出店がコンスタントに続いた
  • マラソンブームで、初心者向けフルマラソン大会であるホノルルマラソンへ行った人が多く、参加者から既に人気だったお店が上陸した。
  • SNSで写真を投稿する文化が根付き、見栄えするパンケーキが人気となった。
  • 流行発信地である原宿・表参道エリアに出店する店が多くなり、話題となった。
  • パンケーキ専門店が少なく、朝食カフェ、ハワイアンカフェとして他のメニューも提供していたので持久力があった。
  • 後半には進化系パンケーキも登場し、話題がつきなかった。

パンケーキはこれからどうなる?

定番メニューとして残り続けているパンケーキ。ただ新たな進化系でも出ない限り、本当に求められるものだけが残る縮小傾向になってしまった今となっては、もう行列するほどのブームは難しそうですね。

パンケーキ専門店は厳しいと思いますが、メニューに柔軟性のあるハワイアンカフェならまた新たにハワイのブームを持ち込めばいいので、あとはお店の努力次第なのかもしれません。

とはいえ何がどう転ぶかは誰にもわからないので、海外ドラマや海外セレブの動向にも注目ですね!

まだスイーツブームヒストリーについての記事を読んでいない方は、よかったら見てみてくださいね。

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