オマール海老とロブスター、それからイセエビとザリガニの違いってちゃんと言えますか?
この話題があがったのは、数年前に六本木にあるスウェーデン料理レストラン「リラ・ダーラナ」で、小規模のザリガニパーティーをしていた時のことです。
それまでザリガニを出すレストランがあること自体知らなかったのですが、当時の同僚だったスウェーデン人によると、スウェーデンではよく食べられているということ。
あまりに国民全員が大量にザリガニを消費するので、国内では絶滅の危機に陥り、政府が8月から2カ月だけ漁を解禁することになり、8月には解禁のお祝いにザリガニパーティーを開くようになったのが始まりです。
でも近年ではスウェーデン国内産のものではなく、アメリカ産か中国産のものを年中食べているそうですよ。
ではこの話の流れから、まずはザリガニについて特徴と見分け方を見ていきたいと思います!
ザリガニの特徴と見分け方
ザリガニの外見は他の3つと比べると大きさも小さめなので、比較的わかりやすいですよね。
特徴的なのはツメの部分です。筆者はエビの体軀にカニのハサミがついているのがザリガニ、という覚え方をしています。
また他の3つと決定的に違うのは、ザリガニは淡水で生活します。
ちなみにアメリカザリガニは日本でも見かけられますが、元々はウシガエルという食用ガエルのエサとして持ち込まれました。
ただ日本ではカエルを食用とする文化が根付かず、逃げ出したアメリカザリガニたちが野生化して増えていったようです。
ウシガエルはとんでもない大きさと声量のカエルです。大きさは20センチくらいなので、ザリガニの子供なら一飲みで食べてしまいます。
ザリガニの味についてですが、ロブスターなどと比べると淡泊でプリプリ感はそれほどなく、上海蟹とシャコの中間みたいな味で美味しかったです。
食べるにはグロテスクだと思われるかもしれませんが、そもそもロブスター系自体グロテスクですからあまり抵抗はないです。
ただ後で詳しく紹介するザリガニパーティー自体については、大量のザリガニが登場するので、苦手な人は抵抗あるかもしれません。
ザリガニパーティーはスウェーデン語で「Kräftskiva(クレフトシーヴァ)」で、「Kräftor (ザリガニ) 」からきています。
一方、英語でザリガニは「crayfish」なので、英語では「crayfish party」と呼ばれています。
イセエビの特徴と見分け方
漢字では「伊勢海老」と書きますが、実は「志摩海老」や「鎌倉海老」、「外房イセエビ」なんて呼ばれることもあります。
外房(そとぼう)は千葉県・房総半島の南東部。国内では三重県と千葉県の水揚げ量だけで4割ほどを占めます。数は多くありませんが、湘南でもイセエビが獲れたりするそうです。
イセエビの外見特徴はツメはあってもハサミがないこと。食べると身が甘くて、ダシにもなる独特の香りが特徴ですよね。
イセエビは茹でると鮮やかな朱色になることや、堅い殻が甲冑のようだと縁起のいい食べ物として昔から人気で、昔から高級食材として扱われています。
日本で食べられるイセエビと少し種類が違うようですが、筆者がオーストラリア・パースのロットネスト島でダイビングした時にもイセエビがいました。
ダイビングでは、漁業権のようなものを購入するとイセエビをつかみ取りできるというオプションもありました。パース以外でもできるみたいです。
ちなみに英語では地域などにより色んな言い方がありますが、イセエビは一般的には「spiny lobster」や「Japanese lobster」など「lobster」と呼ばれることが多いです。
そう!海外ではイセエビもロブスターとして呼ばれているのです。大きくて歩行する海老はロブスターとくくられています。
そしてその流れでオマール海老とロブスターについて説明していきますね。
オマール海老とロブスターの特徴と見分け方
先程、大きくて歩行する海老は英語でロブスターと呼ばれているという説明をしましたが、その流れで言うと当然オマール海老はロブスターに入ります。
じゃあオマール海老は何かというと、フランス語でのロブスターの呼び方です。「homard」はハンマーの意味で、ハサミがハンマーっぽいという意味から来ているようです。
つまりオマール海老とロブスターは言い方が違うだけ。
外見的特徴は大きく肉厚で美味しそうなハサミ。このハサミは物をつかむことより威嚇に使われているそうですよ。
ただオマール海老とロブスターは違うという意見もあるのです。それはフランス・ノルマンディなどで獲られるオマール・ブルーを知っている人からの意見のようです。
オマール・ブルーといった欧州産オマール(Homarus gammarus)が真のオマール海老で、アメリカとかで獲られるロブスターとは外見も違う、という意見もあるんです。
オマール・ブルーはアメリカンロブスターと比べると甘味が強く、エビの最高峰と呼ばれています。茹でる前の青黒い容姿からオマール・ブルーと呼ばれています。
ちなみにイセエビはイセエビ下目ですが、ロブスターはザリガニ下目で、ロブスターとザリガニは実は近い仲間なんですね。
ちょっと厄介なのがオーストラリアやニュージーランドではイセエビがrock lobsterと呼ばれることもあれば、ザリガニと同じcrayfishと呼ばれることもあるのです。でもこれは方言のようなものと見て良さそうです。
それぞれの分類と特徴
整理すると、基本的にザリガニは淡水にいるザリガニ。小さくてハサミあり。
ロブスターは広い意味では歩く大型のエビなので、イセエビも海外ではロブスターのくくり。ハサミはナシ。
だけど、日本ではイセエビは他のエビとは全く違うものとして区分けされ、下目も異なります。
オマール海老とロブスターは同じだけど、オマールはフランス語なので欧州系のオマール海老をイメージされることが多い、という理解で大丈夫のようです。
またイセエビとロブスター類が違うところは寿命です。ロブスターは内臓ごと脱皮するので若返りもでき、100年以上生きるロブスターもいます。
一方でイセエビは脱皮しても10年以上で、長くても30年ほど。
ただ脱皮自体、労力を要しますし、全部の内臓が入れ替わるわけではないので、ロブスターは全く老化しない不老不死の生き物、というわけではないようですよ。
日本でできるザリガニパーティーについて
最初に紹介したザリガニパーティーをしたお店は、六本木駅から歩いて1分の「リラ・ダーラナ」です。
六本木付近は大使館も多く、色んな国のレストランがあるところが魅力ですよね。
7月くらいからザリガニパーティーの雰囲気になっていて、家庭的な店内にはザリガニパーティーの装飾がされています。
席を予約する時にザリガニプレートも頼んでおいたら、「ザリパ」でよく被られている三角帽子も人数分用意してくれていました。
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ザリガニは塩茹でのディルというハーブの風味になっていて、塩味がきいていてクドさもクセもなく結構食べられます。
ザリガニ以外にも日本人の味覚に合う北欧家庭料理が食べられ、どの料理も美味しいのでおすすめです。
コロナで外出自粛中は営業時間短縮などしているので、公式サイトで確認してくださいね。
スウェーデンではキャンドルを灯し、三角帽子にザリガニ柄のエプロンとスウェーデンの蒸留酒であるスナップスを飲みながら乾杯の歌を歌うそうです。
六本木以外で気軽にザリガニパーティーをしたいなら、IKEAがおすすめです。
店舗限定で8月に開催されていて、2020年は開催されるかわかりませんが、食べ放題でかなり人気のイベントですよ。
IKEAのサイトなどでチェックしてみてくださいね。ご参考まで2019のザリガニフェスティバルプレスリリースのリンクを貼っておきます。
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サイトではクラゲのトリビア・雑学についての記事も書いているので、よかったら読んでみてくださいね。
お盆になると海に大量発生すると言われいているクラゲ。 子供の頃は刺されると痛いという嫌なイメージしかなかったのですが、近年になって水流に漂う姿が美しいと癒しのイメージが大きくなっています。 最近の水族館では青やピンクの光に照ら[…]
今回、リラ・ダーラナの料理写真は松井美香さんに提供していただきました。
美香さんは現在カナダに住みながら、映像翻訳のお仕事をされていらっしゃいます。
最近リリースになった美香さんが吹替翻訳を手掛けた作品は、フィンランド映画の「オンネリとアンネリとひみつのさくせん」。
「オンネリとアンネリ」シリーズはフィンランドで大人気の児童文学の映画化作品で、本国では5人に一人が観たと言われているほど。
初夏のフィンランドを舞台に、少女2人のかわいらしい作戦が繰り広げられます。興味のある方はぜひ見てみてください。
映画の舞台となったフィンランドはスウェーデンの隣国ですので料理とかも似ていて、フィンランドでもザリガニパーティー(Rapujuhlat)をするんですよ。
フィンランドについてもこちらのサイトでいつか紹介したいと思います。
松井美香さん、ありがとうございました!
美香さんからいただいた写真を使った記事は以下にもありますので、よかったらあわせて読んでみてくださいね。
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