瀬戸ってどんなところ?
将棋の藤井聡太七段(2020年4月時点)人気で一躍脚光を浴びた愛知県・瀬戸市。
名古屋市から北に行ったところにある瀬戸市は、陶磁器の「せともの」で有名な街です。
「瀬戸物」とは元々は瀬戸焼のことを指していましたが、今では陶磁器全てのことをさすようになっていますね。
瀬戸には瀬戸層と呼ばれる地層があり、良質な陶土が豊富にあるところなのです。
瀬戸市には大きく名鉄瀬戸線「新瀬戸駅」と「尾張瀬戸駅」を中心にした大きめの街があるのですが、今回は瀬戸線、地元民で言う「瀬戸電」の始発駅である「尾張瀬戸駅」に焦点を当てて、筆者おすすめのスポットなどを紹介します。
ざっくりしたイメージでは、昔からの中心地は「尾張瀬戸」で、近年は「新瀬戸」になりつつあると言った感じでしょうか。
ナゴヤドームがある「大曽根駅」から「尾張瀬戸駅」までは、電車で30分ほどのエリアなので、名古屋観光のついでに行けるスポットです。
尾張瀬戸駅から歩いて行ける観光スポット
瀬戸焼の始祖が祀られる「深川神社」
尾張瀬戸駅から歩いて8分ほどのところにある「深川神社」は、奈良時代に創建された歴史ある神社です。
深川神社には「瀬戸焼の始祖」と呼ばれる人物が祀られています。
鎌倉時代に中国で6年焼物の修業をして、良質な土を求めて全国行脚していたところ、神のお告げで瀬戸に招かれたそうです。
神のお告げに感謝して奉納されたのが、神社にある「狛犬」で国の重要文化財に指定されています。
このエピソードにちなんで、神社では「お願い狛犬」という絵馬代わりの小さな狛犬を授かることができます。
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願い事がある人は二つ受けて、一つを神社にある陶彦社に預けると願いが叶うというもの。
狛犬の表情はアルカイックスマイルで、ほんの少し口角が上がっているのがかわいらしいです。
染付体験ができる「招き猫ミュージアム」
深川神社へ行く途中に遭遇するのが大きな招き涅槃猫。体長6メートルの招き猫です。通常と違って、コロナ対策で巨大な唐草模様のマスクをしています。
後で詳しく紹介する招き猫イベントで、イベント中に瀬戸市美術館前などに展示されている猫なのですが、2020年4月時点では「招き猫ミュージアム」前に寝転んでいます。
この巨大招き猫は宝くじの当選を招くと言われているので、招き猫を見てから深川神社でお願い狛犬に願いを託せば、大きなご利益がありそうです。
猫はもしかしたら何かのイベントで出張するかもしれないのでご了承ください。
招き猫ミュージアムは2020年4月30日まではコロナ対策で休みとなりますので、深川神社へ行くついでに巨大猫に会いに行ってみるという散歩コースがおすすめです。
通常時は各地から取り寄せられた5000体の招き猫を見ることができたり、招き猫の形に呉須という青色の絵具でオリジナルの招き猫を色づけできる「染付体験」ができたりします。
この招き猫ミュージアムは日本最大の招き猫博物館なのですが、実は瀬戸市は最初に招き猫作りをはじめた場所なのです。
招き猫たちの故郷である瀬戸市で招き猫作り体験ができるのは嬉しいですね。
招き猫人形以外にも、招き猫の貯金箱やお皿、マグカップなど選ぶことができます。
「瀬戸蔵」・「瀬戸蔵ミュージアム」
尾張瀬戸駅から歩いて5分のところにある「瀬戸蔵」。
瀬戸蔵の2階・3階にある「瀬戸蔵ミュージアム」には、瀬戸や瀬戸焼の歴史が展示してあり、焼物の輸送を行っていた昔の電車に乗ってみることもできます。
瀬戸蔵が最も華やかになるのは、毎年2月初めから雛祭り頃までに開催される「瀬戸のお雛めぐり」 という雛祭り展示イベント。
1階の瀬戸蔵では高さ4mのピラミッド型ひな壇「ひなミッド」に、1000体の陶磁器・ガラスの雛人形などが並びます。
かわいいながらも迫力があり、圧巻の光景です。
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子どもには無料でお内裏様やお雛様の衣装が借りられ、ひなミッドと写真撮影ができるのが嬉しいところ。
2階・3階の瀬戸蔵ミュージアムでは「千代紙のつるし飾り」も見られます。こちらは入館料が必要となるのでご注意ください。
お雛巡りの週末には瀬戸市内30ケ所以上のスポットで、期間限定の「お雛ランチ&スイーツ」が楽しめます。
お雛ランチは店により内容が違うので、色々探ってみるのも楽しいですね。
上の写真は瀬戸蔵から歩いて4分、駅から5分の「Cafe&Guesthouseもやいや」さんの「お雛ランチ」です。
もやいやさんではカフェやゲストハウスだけでなく、予約制でろくろ体験などのワークショップに参加できますので、興味のある方は公式サイトを見てみてくださいね。
尾張瀬戸駅周辺で開催のイベント
せと陶祖まつり
毎年4月中旬の週末に開催される、瀬戸焼始祖の遺徳を偲ぶお祭り「せと陶祖まつり」。
2020年はコロナ対策で中止となっていますが、 通常だと尾張瀬戸駅から深川神社まで裃や巫女の男女が焼物を献上する「御物奉献行列」が行われます。
周辺ではせともの楽市などが開かれ、決して大イベントというわけではないのですが、大混雑もなく絵付け体験やお茶会などに参加できる、なかなか面白いお祭りです。
せともの祭
毎年9月中旬の週末に開催される「せともの祭」。
瀬戸の各地からとんでもない量の瀬戸焼が集められ、とても賑わいます。
屋台やステージイベントなどもあり、陶磁市ですが子供も楽しめます。
フィナーレは花火で締められるのですが、せともの祭の日は土日のどちらか必ず雨が降ると言われ、雨にまつわる伝説のようなエピソードがあります。
せともの祭は窯神神社(かまがみじんじゃ)の神事なのですが、せともの祭はこの神社に祀られている磁租・加藤民吉を称えた祭礼です。
江戸時代に九州の有田焼に軍配を取られていた瀬戸では、有田焼の技術を盗むべく民吉が瀬戸から九州に送り込まれました。
民吉は素性を隠して有田焼の陶家に弟子入りし、瀬戸に妻子があったにも関わらず、その娘と結婚までしてしまいます。
民吉はその後瀬戸に戻り、有田焼の技術を持ち帰り瀬戸焼の復興を支えたヒーローになるのですが、残された九州の妻やその家族からの恨みで、せともの祭には雨が降ると言われているのです。
地元ではせともの祭が終わると本格的な秋がやってくると言われていて、せともの祭は雨も含めて初秋の風物詩となっています。
来る福招き猫まつり
毎年9月29日は「来る福」の語呂合わせで「招き猫の日」とされており、瀬戸市ではその辺りの週末に「来る福招き猫まつり」を開催しています。
招き猫まつりでは、日本最大級の招き猫コンペティション「にっぽん招き猫100人展」が開催されます。
また無料で劇団四季「キャッツ」のような招き猫メイクをしてもらうことができ、猫耳をつけて街を練り歩くことができる楽しいイベントです!
招き猫まつりでは市内各地のカフェなどで食べられる「福々ランチ」というものがあり、陶製の招き猫弁当箱に店オリジナルのランチを楽しむこともできますよ。
尾張瀬戸駅周辺グルメ情報
2020年4月はコロナ対策の外出自粛に伴い、営業自粛・営業時間の短縮が見込まれますので、お出かけの際は公式サイトの確認、もしくは電話などでお問い合わせください。
うなぎ「田代」
瀬戸には「せとめし」と呼ばれるご当地グルメがあり、その代表格なのが鰻です。
特に人気なのが尾張瀬戸駅から歩いて10分のところにある「田代」。深川神社の参道にあります。
生きたまま鰻を仕入れ、注文を受けてから捌いて焼くというこだわりよう。鰻は肉厚で香ばしく、遠方からの客も多い名店です。
瀬戸では窯元の職人が窯火で奪われた体力を回復するために鰻が食べられていたのですが、いい器が焼けた時のご褒美メニューでもあったそうです。
店の前に行くと鰻を焼く煙と匂いに誘われ、入らずにはいられなくなります。
店に入ると漏れなく燻されることになるので、気にならない服を着て行ってくださいね。
住所 | 愛知県瀬戸市深川町13 |
電話番号 | 0561-82-3036 |
瀬戸焼きそば「大福屋」
せとめし、鰻に続くご当地メニューが、そばを豚肉の出汁と醤油で仕上げた「瀬戸焼きそば」です。地元民の方から紹介していただきました。
実は先程ご紹介したうなぎ田代の隣にあり、昭和の頃から人気のお店です。
昭和に瀬戸が「尾張の小江戸」と呼ばれるほど製陶業が盛んだった時、窯火前で大量の汗をかいた職人が、塩分をとるために醤油で味付けされたのが瀬戸焼きそばのルーツです。
筆者はまだ食べたことがないのですがとても美味しいと評判で、味は少し甘さを感じる焼きそばです。
テイクアウトもできるので、田代で鰻を食べた後に瀬戸焼きそばを持ち帰りというものありですね。
住所 | 愛知県瀬戸市深川町14-6 |
電話番号 | 0561-84-3894 |
手打ち蕎麦「志庵」
尾張瀬戸駅から深川神社方面に歩いて5分のところにある、洗練された上品な雰囲気の店内で絶品手打ち二八そばが食べられる「志庵」。
そば以外のサイドメニューも人気で、特に店名物の桜海老の天ぷらはファンも多い逸品です。
蕎麦にも出汁にも大変こだわりがあり、秋になると店主自ら蕎麦農家へ出向き、一年分の蕎麦を買い付けています。
毎日使う分だけを石臼で挽き、その日の天候に合わせた蕎麦打ちをしているかなり手間暇かけられたそば。
一週間ほど寝かした出汁と一緒に、そばの香りと旨味を味わうことができます。
「マカロニカフェ&ベーカリー」
尾張瀬戸駅から歩いて10分ほどのところにある「マカロニカフェ&ベーカリー」は、「マルミツ陶器」が運営する「ソボカイデポ」という施設の中にあります。
ソボカイデポでは料理教室をやっていたり、食器を購入できたりします。
マカロニカフェは店内も料理もとてもオシャレで、スイーツも含め大体どの料理を頼んでも安定して美味しいです。
結構賑わっているので、時間帯に寄っては提供まで時間がかかるかもしれません。
陶器メーカーの直営店というのが、焼物の街・瀬戸らしいカフェです。
瀬戸には陶磁器を扱うお店がとても多いので、瀬戸焼に興味を持たれた方はせとものめぐりをするのも面白いですよ。
尾張瀬戸駅周辺以外にも、とても魅力的なスポットが多い街なので、またこのサイトで紹介していきたいと思います。
今回のアイキャッチなどに使用している写真は、愛知県在住のマキさんにご協力いただきました。
マキさんに提供してもらった写真を掲載してある記事は、以下にもあるのでよかったら読んでみてくださいね。
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