最近ではメジャーになりつつある 名古屋のご当地メニュー 「あんかけパスタ」。
実は名古屋ではあんかけパスタ以外にも、インディアンパスタ、イタリアンパスタというものが存在します。
インディアンパスタ、イタリアンパスタと言ってどんなものかピンとくる人は、おそらく名古屋かその周辺の出身の方、もしくはご家族が出身の方なのではないでしょうか?
今回はこの3つのパスタについてご紹介したいと思います!
インディアンパスタとは?
インディアンパスタ/インディアンスパゲティとは、カレーののったパスタ、もしくはカレー粉で味付けされた類のものです。
基本的には家庭料理で、カレーライスのライス部分がスパゲティになっただけのもの。
時間がないときのズボラメニューで、茹でたパスタにボンカレーのようなレトルトカレーをかけて食べる、子供から大人まで人気のメニューです。
カレーといえばインドでしょ、という発想から「インディアンスパゲティ」と呼ばれています。
スパゲティもパスタソースも保存がききますし、スパゲティならご飯を炊くよりも早く茹で上がるので、10分後にご飯を食べたいというシチュエーションにはもってこいなのです。
インディアンスパゲティが名古屋生まれなのかどうかはわかりませんが、名古屋で浸透していった理由は、もしかしたらオリエンタルカレーのオリエンタル本社が愛知県にあることからかもしれません。
茹でたスパゲティにオリエンタルカレーを食べるスタイルの家庭も多かったと思います。
またカレーうどんの「若鯱屋」の本部、カレーライスの「CoCo壱番屋」の本社も愛知県ですし、愛知県民はカレーが好きだという背景も強いですね。
名古屋のご当地めしと呼ばれるものは、赤みそベースのものや台湾ラーメン、手羽先とどれも味が濃いので、カレーは愛知県民の嗜好に合うのでしょう。
最近では東海エリア以外でも喫茶店などのお店で出されているようです。
イタリアンパスタとは?
イタリアンパスタ/イタリアンスパゲティとは、鉄板皿の上にナポリタンスパゲティがのせられ、余白部分に溶き卵が流され固まったスパゲティを指します。
アツアツで食べられる上に見栄えもよく、通常のナポリタンよりも一気に「外食感」が増すヨソユキメニューになるんです。
幼児には熱すぎますけど、小さな子供から大人までテンションの上がるパスタなんです。
イタリアンスパゲティ発祥の店「喫茶ユキ」のマスターがイタリア旅行に行った時に、冷めないパスタとしてこのメニューを編み出したのだそう。
鉄板の板からイタスパと呼ばれ、そこからイタリアンスパゲティになったと言われています。
いまや鉄板にのったパスタはイタリアンだけでなく、インディアンやあんかけにも鉄板が使われるようになりました。
昔、名古屋の人になぜイタリアンスパゲティなのか尋ねたところ、「赤と黄色とピーマンの緑がピザっぽいからじゃないか」という回答があったのですが、イメージとちょうどあっていたのかもしれません。
偶然にもインディアンスパゲティというものが名古屋には存在していますし、イタリアンスパゲティという名前は、名古屋のグルメ文化にしっくり馴染んでいったんでしょうね。
あんかけパスタ
筆者の母は愛知県三河エリア出身であんかけパスタは幼少時から食べていたのですが、あんかけパスタという呼び方をしていませんでした。
愛知県三河エリアでは「スパゲッ亭チャオ」が有名だったので、「チャオのスパゲティ」と呼ばれていました。
昔は名古屋でも街中に出なければ三河エリアでしか食べられないものだったのですが、平成に入ってから「スパゲティハウスチャオ」が続々と名古屋エリアにも店舗を広げていき、より身近なものになりました。
名古屋でも「あんかけパスタ」という名前が浸透し始めたのは、30-40年くらい前からのことらしいです。チャオのパスタに関してはまた後ほど説明しますね。
あんかけパスタとは何?
愛知県民のソウルフードでもあるあんかけパスタですが、他県の人が初めて食べるとちょっと受け付けないという話もよく聞きます。
初めて食べる人はまずは見た目から味を想像せず、一般的に流通しているスパゲティとは別物だと思って食べた方がいいと思います。
基本的にはトマトソースとミートソースがペースト状になり、少しとろみがついているもので、中華焼きそばのあんかけとは全く味が違います。
豪快にも「スパゲッ亭チャオ」がレシピ公開していましたので、簡単に材料を説明します。
男爵イモ、にんじん、玉ねぎ、トマト、牛肉、ニンニクを煮込んでペーストにし、トマトピューレ、トマトペースト、牛肉、ニンニク、塩、胡椒を混ぜて、8時間煮込んでとろみをつけるのだそう。
野菜たっぷりで体にもよさそうだし、これだけ見ると他県の人に嫌われる要素なんてみつかりません。
他県の人が一番抵抗があるのはスパゲティの太さみたいですね。最近の主流は細めなので、太いと違和感があるみたいです。
愛知県民は他県の人に「これ絶対おいしいから食べて」なんてハードルを上げず、ある程度の情報を伝えてから食べさせた方がいいかもしれませんね。
関東圏などのお店で出回っているあんかけパスタは質があまりよくない場合もあるので、(全部食べたわけではないのでそうじゃないお店もあると思います)できれば愛知県内の有名あんかけパスタのお店かレトルトで食べて欲しいです。
あんかけパスタはスパゲッティハウスヨコイの創設者が立案
あんかけパスタ自体の考案はスパゲッティハウスヨコイの創設者が初めて生み出したものです。それが1961年なのでおよそ60年前。歴史は結構あるのですね。
そこからあんかけパスタと呼ばれ始めたのが、その20-30年くらい後ということですね。
ヨコイは既出のチャオに比べるとブラックペッパーがきいてより辛めです。ウインナー、ハム、ベーコン、マッシュルーム、タマネギ、ピーマンを炒めた「ミラカン」が看板メニューとなっています。
ミラノをイメージしたハム系の「ミラネーズ」と、田舎をイメージした野菜系の「カントリー」、両方の具材を合わせたメニューが「ミラカン」です。
ヨコイは味がやや男性好みなのか、住吉、錦、名古屋駅に店舗があるのですが、会社のランチに利用する男性客が多い印象です。
ちなみにヨコイではあんかけとも呼びますが、「ヨコイソース」などと呼んでいます。
「スパゲッ亭チャオ」と「スパゲティハウスチャオ」は別物
チャオのスパゲティはヨコイより後になりますが、子供も含めた一般市民のあんかけパスタとして浸透したのはチャオのスパゲティです。
これはヨコイほど辛くないのと、店舗の立地条件でチャオの方が浸透しやすかったという背景があります。
とてもややこしいのですが、「スパゲッ亭チャオ」と「スパゲティハウスチャオ」、両方チャオのスパゲティに変わりありませんが、経営は全く別。
スパゲッ亭チャオを先に知っている人からは、名古屋ではちょっとスタイルを変えて始めたんだと思った人も多かったようです。
もしかしたらいまだに同じ系列店だと思っている人もいるかもしれません。
というのは看板メニューはどちらも「バイキング」というカツ、卵、ウインナーがのったあんかけパスタなので。
「スパゲッ亭チャオ」はパチンコのオーギヤグループ系列、「スパゲティハウスチャオ」はひつまぶし「稲生(いのう)」なども経営する株式会社モリタが経営しています。
オーギヤの沿革をみると、チャオはどうやら1965年頃にできた模様。株式会社モリタの沿革によると、チャオは1979年に開業。少しだけ前者の方が早い様子。
どちらもあんかけパスタ発祥の店というわけではないので、どちらが早いというのはあまり問題ないかもしれませんね。
スパゲティハウスチャオのあんかけパスタは名古屋駅や栄など、観光客もアクセスしやすいところに店舗を設ける手軽さと便利さが非常にありがたいお店です。
一方でスパゲッ亭チャオは豊橋と豊川、あとなぜか神戸に店舗があります。
どの店舗もわざわざ行かないといけないようなところにしかないのです。おそらく系列のパチンコ店があるエリア中心に展開しているのかと。
同じメニューのバイキングで比較すると、スパゲティハウスチャオが白身魚フライに赤ウインナー、目玉焼き(レギュラー税抜864円)なのに対して、スパゲッ亭チャオは通常のウインナー、チキンカツにゆで卵をわざわざ裏ごしし、値段も少し安め(税抜787円)。
好みでもあると思うのですが、どちらかというと食べて欲しいのはスパゲッ亭チャオのあんかけパスタです。
スパゲッ亭チャオ本店は豊橋駅前にあり、内装もパチンコチェーンの会社が経営しているとは思えない老舗感があり楽しいです。
昭和レトロな雰囲気そのままにしてあり、逆に若い人には新鮮で博物館の中で食べているような気分になれますよ。
豊橋は知人がいないと、なかなか行く機会が少ないエリアかと思うので、わざわざ食べに行かなきゃいけない人もいるかもしれません。
豊橋では路面電車が走っていて、冬には「おでんしゃ」という市電を屋形船のようにしてみんなで飲み食いしながら市内を走るという面白いイベントもあったりするんですよ。
2020年は開催されるかはわかりませんが、豊橋にお出かけしてスパゲッ亭チャオ本店へ行ってみるのも楽しいですよ。
またこちらのサイトで豊橋エリアについても紹介できればと思っています!