毎年10月29日は「ドリアの日」!発祥の地「ホテルニューグランド」ではその日なにがあった?【横浜市】

以下の記事は、 2025年10月8日にYahoo!ニュースでも紹介された記事のアーカイブ版です。

2021年に正式に記念日として認定された「ドリアの日」。ドリア発祥の地である「ホテルニューグランド」が、ドリア誕生の歴史をより多くの人に知って欲しいという想いがきっかけとなって制定された日です。

では一体この日はどんな日なのか。先日取材したばかりではあるのですが、今回改めて取材に伺った様子とあわせて紹介させてもらいます。

なぜ10月29日が「ドリアの日」?

ホテル発祥として有名な「シーフードドリア」「スパゲッティ ナポリタン」「プリン・ア・ラ・モード」画像提供:ホテルニューグランド 

ホテルニューグランドといえば、こちらの記事でも紹介させてもらったように、横浜の歴史と共に歩んできたような品格あるクラシックホテル。

横浜発祥といわれる「シーフードドリア」「スパゲッティ ナポリタン」「プリン・ア・ラ・モード」を、最初に考案し広めたことでも知られるところ。

コーヒーハウス ザ・カフェ入口前では、待ち時間などに当時の情報などを読んで知ることができるようになっています。

では10月29日がドリアを最初に提供した日なのかというとそうではなく、初代総料理長サリー・ワイル氏が来日した日なのです。今回改めて広報の横山ひとみさんからお話を聞き、「ドリアの日」にちなんでご紹介できればと思います。

サリー・ワイル氏はパリからホテルニューグランドに招かれたスイス人シェフ。食事をもっと気軽に楽しくと、ドレスコードなどの服装や形式にとらわれないスタイルを提案してきた方。

メインダイニングとは別にグリルルームを作り、当時主流だったコースではなくアラカルトを中心にオーダーできるようにしたのです。

また面白いところがリクエストに応じて、サリー・ワイル氏が即興で料理を作ってくれるというところ。そこで生まれたのが、ホテル発祥となった「シーフードドリア」なのです。当初はシュリンプドリアだったのだとか。

シーフードドリアが提供される「コーヒーハウス ザ・カフェ」入口

体調が悪い方がなにかのど超しのいいものを、というリクエストで用意されたシュリンプドリアは、なめらかでクリーミーな優しい味。

話を聞きながら「体調が悪い時にドリア?」と、まだホテルニューグランドのドリアを試していない筆者は少し引っかかってしまったのですが、こちらのドリアには筆者が想像したようなミートソースなどは入っていません。

ザ・カフェの外側を、下から見上げたアングルで撮影させてもらいました。店内の窓からはイチョウ並木がみられ、色づくとポストカードのような光景が広がるのだとか。

その時はバターライスに海老のクリーム煮をのせ、グラタンソースにチーズをかけてオーブンで焼かれたものでした。フランス料理の基本であるベシャメルソースやオランデーズソースが、当時の日本人の主食である米と合わさった画期的な“洋食”メニューが誕生したわけです。

ホテルニューグランド本館1階「コーヒーハウス ザ・カフェ」で提供される「シーフードドリア」(3,289円)。

シーフードドリアが食べられるのは、本館1階にある「コーヒーハウス ザ・カフェ」。今回は取材で試食させてもらいました。

現在は、バターライスの上に甲殻類の出汁が入ったアメリケーヌソース、その上にベシャメルソースとオランデーズソースを合わせたクリーミーなグラタンソースが加わった三層構造。

海の幸がぜいたくに盛り込まれたドリアは風味豊かで、たっぷり入った海老のプリプリ食感がたまらなく楽しいです。

気持ちに寄り添って生まれたドリアは、これから寒くなる時期に心まで温かくしてくれるメニュー。当時に想いを馳せながら、発祥の地で食べてみるのもいい記念になりそうです。

知ればもっと横浜を好きになる

時計の上には、極楽浄土へ誘う天女たちが雅楽を奏でるデザインが施されたシルクの織物が。時と空間がとけあうウェルカムミュージックが絵になったかのようです。(川島織物「天女奏楽之図」)

サリー・ワイル氏について触れたところで、開業時のホテルニューグランドを語る上でもう一人紹介しておきたい方が。それが建物の設計を手掛けた渡辺仁氏。後に銀座和光ビルや東京国立博物館本館を手掛けた方で、若き日の作品ともいえます。

階段を上がってすぐに横浜の景色を見てもらいたい、という想いが形になったデザインです。

一年を掛けて世界を巡る旅をした渡辺仁氏が設計したのは、さまざまな文化や様式が入り混じったホテルニューグランドという巨大な芸術作品。

関東大震災後の建設ということもあり、そのレベルの震災があっても崩れない耐震構造。存在感ある堅牢な柱もオブジェのような美しさです。

関東大震災からの復興のシンボルでもあるホテルの本館は、頑丈さも誇る横浜市認定歴史的建造物・近代化産業遺産。

左側の大きな絵が飾られているアーチ型の部分は、元々右側と同じ大きな窓だったところ。現在は壁となっており、タワー館とつながっています。

本館2階のザ・ロビーは、宴会場に予定がなければ大階段をあがって少し見学することもできます。筆者にとってここは、自分が少女の時に夢見た、おとぎ話の舞台となるお城やお屋敷のイメージにあてはまる場所。

伽藍の吊り灯籠を模した照明は一見重そうに見えますが、実は真鍮が薄く仕上げられているためそんなに重くないのだそう。和紙が使われた照明は海外の方から当時とても珍しがられていたのだとか。

西洋風なのにシャンデリアではなく和紙と真鍮でできた灯りが並んでいるところや、ところどころオリエンタルな要素があるところも、どことなく神秘的で心惹かれるのです。

過去に使われていた新聞ラック。海外からの訪問客が多かったので、英字新聞が多く並んでいたそうです。

9月にお伺いしたばかりなのに10月に再訪したのは、そのときめきのような感情を確認したかったというのがあります。初めて行ったところの感動が大きくて次に訪れた時にそうでもなかったということは、残念ながらよくあること。

もちろんホテルニューグランドは前回が初めてだったわけではないのですが、何度目かの訪問となる今回も新たな発見と大きな感動に出会えました。

ロビーにはその昔、客室で実際に使われていたデスクも2セット展示されています。座ってみても大丈夫とのことで、実際に座らせてもらいました。手前が低く、少し斜めになったデスクの脚は、優美でクラシカルなデザインが施されています。

実際に体感もできるクラシック家具が置かれているのは、ホテルニューグランドが「家具の博物館」と呼ばれることもあるゆえん。しかも入場料が無料というのがまた魅力的です。

また大階段では、手すりの近くに穴が空いていることを教えてもらいます。「ここ、なんで穴が空いているかわかりますか?」と横山さん。これは絶対なにか面白いトリビアがありそうなのですが、いろいろ考えてみても想像がつきません。

横浜さんいわく、その穴は前の手すりがあった時の穴で、以前使われていた手すりは戦争があった時の金属回収令で取り外しがされたのだそう。

さすが息をするようにホテルの豆知識が溢れ出てくる横山さん。ホテルニューグランドでは広報としてだけでなく、横浜という都市の学芸員としての役割も果たしている気がします。

ホテルニューグランドには、中庭を眺めながら食事ができるレストランやラウンジもあります。

本館から出る時に、ちょうどすれ違いで女性が2人入られ「ここの中庭がきれいだから、見せたくって」とうれしそうに話している声が聞こえました。ホテルを知っている人が誰かに教えたくなるお気に入りの場所なのだと思うと、なぜか自分までうれしく感じるのが不思議です。

本館中庭では、ブルーとホワイトの光の演出「Aqua Bloom(アクアブルーム)」が毎日19:00/19:30/20:00の計3回、各回約 3 分間点灯されています。

横浜の人が自慢したくなるクラシックホテル「ホテルニューグランド」。

前回、こちらもホテル発祥であるスパゲッティナポリタンなどをご紹介した記事もあわせて参考にしていただき、ホテル発祥の料理を食べる前後にぜひ横浜の歴史に触れて欲しいです。

タワー館ロビーでは10月中ハロウィンをテーマにした秋を感じる装花が飾られています。(画像提供:ホテルニューグランド)

※料金などは2025年10月取材時の内容です。

ホテルニューグランド

公式サイト:ホテルニューグランド

アクセス:横浜高速鉄道みなとみらい線「元町・中華街駅」1番出口より徒歩1分

住所:神奈川県横浜市中区山下町10番地

電話番号:045-681-1841(代)

Instagram:hotelnewgrand

X: hotelnewgrand_

コーヒーハウス ザ・カフェ

公式サイト:コーヒーハウス ザ・カフェ

本館1階

電話番号:045-681-1841

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