こちらの記事は、2025年9月1日にYahoo!ニュースにも掲載された記事のアーカイブです。2026年は8月16日(予備日:2日)に開催される予定となっています。
たわわに咲くサルスベリの花が青空に映える2025年8月の週末。貨物船が水平線上を横切る景色を見下ろす丘の上、柴シーサイドファームにて、毎年恒例となっている「アマンダリーナ」の横浜あおみかん摘果体験が開催されました。

みかんはまだ青いうちにおいしく成長させるため、“摘果”と言って間引きをします。間引かれたみかんはこれまではほとんど捨てられていたのですが、「捨ててしまうにはもったいない!」とその価値に着目したアマンダリーナがそれを買い取り、果汁を使ってドレッシングや調味料を製造。
今回は毎年ボランティアも加わって摘果される様子を、取材させてもらいました。

真夏の摘果体験イベントは今年で10回目!
今年の夏で記念すべき10回目を迎える真夏の青みかん摘み。今回は宍倉さんのみかん畑で西柴中学校3年生の有志、小山さんの畑で大人を中心としたボランティアが参加しました。

参加希望者が多いので、日程調整ができるよう2日に分かれて開催。奥井さんによると「ここ数年温暖化の影響でこの時期が30度を超える酷暑となり、長時間の作業が危険なため、短い作業時間で2回に分けて実施するようにした」という背景もあるそう。
筆者が参加した8月初旬は、元々予定されている中旬の開催には参加できないけど摘果をしたい、という人達のための小規模参加となっていました。

2025年1月にアマンダリーナの取り組みを紹介させてもらい、地域ニュース記事の月間賞をいただいたことがありました。その直後、横浜市金沢区内のイベントでアマンダリーナ代表の奥井奈都美さんにお会いし、「ぜひ青みかん摘みも取材させてください!」と依頼したのは筆者自身なのですが…。

実は今までの人生で、盛夏の農業体験をしたことがありません。炎天下の暑さに非常に弱く、正直に言うと最後まで無事に参加できるのか、かつてない不安がよぎる取材。
横浜市金沢区でも農家の高齢化が進んでいると聞きますが、焼き付けるような暑さの中でも作業をされる農家の方の忍耐力と努力には頭が下がります。
西柴中ボランティア参加者による横浜あおみかん摘果体験

2グループの中で一足先に作業が始まったのは、中学生ボランティアによる宍倉さんの畑。この辺りの農家の方は半農半漁スタイルが多く、宍倉さんもそのお一人。
夏は漁の仕事の方が忙しく、長靴の中が汗でビショビショになるほど過酷な環境でありながら、農家の作業もしています。

食べ頃の時期にちょうどいい大きさで育つためには間引きが必要。それをしないと甘さが少なくなったり、木が疲れてしまって翌年に実らなくなったりすることも。

アマンダリーナでは、青みかんの大きさが35mm以上、摘果してから3日以内、最後に消毒をしてから45日以上経過していることを推奨。手作りの青みかんメジャーで仕分けをしていきます。

木の上部はハシゴが必要なところもあるので宍倉さんが担当し、ボランティアは下の方が優先。間引きは、鈴なりに実っているところをすいていくイメージ。空に向かって天成りになっている状態も酸味が多いため摘んでいきます。傷があるものも摘果の対象。
「こんなに間引いちゃっていいの?」というくらいでOK。

西柴中ではSDGs活動の一環で始まった金澤八味唐辛子用の苗植えをきっかけに、アマンダリーナと交流があるとのこと。調理実習でもアマンダリーナのドレッシングを使って、地産地消を意識するようになりました。
実は西柴中の生徒が、ここまでの人数で参加するのは今年が初めて。

「先生から誘われて、青みかん狩りなんて来ることないから面白そうと思って来た」という子も多かった、西柴中学のボランティア参加者。

その日は男の子の参加は1人のみでしたが「男子が何人参加するとか関係なくて、女子がいなくても、参加者が1人でも行くと決めて来ました」ということ。

「毎年みかん狩りには来るけど、青いみかんがなっているのを見たことがないから、商品になっていくなんて不思議な感じ。こんな暑い中で作業されているんだって感じた」と感慨深げに話してくれた女子中学生の言葉も印象的でした。

宍倉さんは、「間引きの時期にボランティアに来てもらっていることで助かっている。来年以降も来て欲しいですね」とお話してくれました。

一般参加者が集まる小山さんのみかん畑では
そして大人の方のボランティアが多い小山さんの畑に移動して取材。筆者としてはあまり力になれていないのに、取材するだけでもそれなりに体力を消耗する摘果体験。
一体、どうして、どんな人が参加するのかとても気になっていました。

インタビューしたのは今回の参加が初めてというご家族。実は一般社団法人横浜竹林研究所(以下、ハマチクラボ)の方で、横浜市内の竹林整備から「クラフトメンマ」を製造されています。
アマンダリーナとは「ハマのメンマ金澤八味辣油味」でコラボしていることで、今回の参加に繋がりました。

参加者の中には地域のSDGs活動に参加したいという方もいますが、ハマチクラボのようにアマンダリーナと「横浜の地産地消を盛り上げよう!」という同志や、これからコラボをしていきたいと考えている方も少なくありません。
実際、金沢区内でのイベントでアマンダリーナブースを見かける時も、コラボのような提案をしているような方もよくお見掛けし、こうやってアマンダリーナを軸に、地域の環が広がっていくのだなと感じます。

奥井さんからはあまり起業家さん独特の圧を感じることがありません。自分から積極的にいくわけでなくても自然に人が集まってくるのは、奥井さんの人柄に魅力があるからなのでしょう。

また実は8月17日に開催された摘果イベントでは、アマンダリーナ商品を販売している横浜テクノタワーホテル1階「香港飲茶レストランCORE」レストランマネージャーの大谷さんが、ホテル2階「リューバンカフェ」池谷シェフと参加したとのことでお話を伺いました。今回は奥井さんから声をかけてもらったそう。
その日は過去最多の70人が参加。ラック20個分の間引かれた青みかんが収穫されました。
「弊店舗でも取り扱わせていただいている、青みかんドレッシングシリーズのベースとなる果汁を、実際に自分が取って、それが商品として陳列されるのもすごく感慨深い」と大谷さん。

実はリューバンカフェで提供している料理に、こちらの青みかんを使うこともあります。9月からリューバンカフェでは「当日仕入れた魚のムニエル ブールノアゼットソース」が、休日限定開催オードブルブッフェのディナー限定で楽しめる予定と紹介いただきました。

「ブールノアゼットソースとは、絶妙な火加減が必要とされる焦がしバターソースで、その焦がしバターに地元で摘果された青みかんの程よい酸味をアクセントに加えた、地元ならではのオリジナルソースです」と大谷さん。
横浜テクノタワーホテルと柴シーサイドファームはとても近いので、まさに地産地消。お互いに応援し合っているような、地域の繋がりと絆を感じます。
海とみかん畑を繋ぐ小山さんにインタビュー
そして今回、別の場所で畑作業をされていた小山さん本人からお話を聞くことができました。小山さんの畑の特徴、それはゴミとして捨てられる海そうを肥料として使っていること。
かねてから、海とみかんを最初に繋げた原点でもあるような小山さんにお会いしてみたかったのです。

「海に流れ着いた海そうは焼却すると釜が傷むし、私は海そうを肥料にすると甘味が増すんじゃないかと思っているんですよ」と小山さん。そう言いながら土を少し掘り起こすと、海特有の匂いを感じます。
九州で、海水栽培で高糖度のトマトを育てているという話も参考にしているのだとか。

横浜あおみかん摘果体験は、小山さんのお孫さんが対応されていました。
海水をたっぷり含んだ状態で運ばれてくる海そう。以前はアマモなどが使用されていましたが、今年は初めてアオサとオゴノリが肥料となっています。
自然環境の変化で海にも影響があり、運ばれてくる海そうの種類が変わっていきました。

アマンダリーナが青みかんを商品化していることについては「アマンダリーナもこちらもお互いに良くてプラスになる。今まで捨てていたのが加工品に変わっているので、食品ロスの貢献になっている」とのこと。
成熟したみかんについても「これからアイデアを出して新しい商品も考えていけば、もっと色々なことができるんじゃないか」と考えているそう。

傍らで「そのうち父と自分が継ぐことになる」とお孫さんがおっしゃっていたみかん畑。小山さんは「いつか横浜一のみかんに」と笑いながら、「横浜のみかんだったら柴シーサイドのあそこといわれるくらい」と目標を大きく持って次につなげていきたいというようなことを語ってくれました。

お孫さんから、現在は試しに新しい品種のみかんも育てていることを聞き、昔から変わらない風景の中でも多くの挑戦が行われているのだということを教えてもらいます。
イベントが終了してから、改めて奥井さんからも海そうのお話を伺いました。

「ここ数年は私がアマモの上がる時期に海の公園に行き、公園の管理会社からアマモなど(今年はオゴノリでした)をいただいて、軽トラに積んで小山さんの畑に持っていってもらっています。小山さんのほかにも柴シーサイドファームの農家さんで、この海そうを使ってくれる農家さんが増えてきました。私としては、海の公園であがった海そうを肥料に使用した野菜を、横浜を代表する“プレミアム野菜”にしたい!という構想があります。今後もこの活動を続けていくつもりです」
多くの人のアイデアと協力で繋がっていったみかんの環。海とみかん畑との繋がりが、これからも広がっていくことを願います。
無事に摘果が終了!

9時頃から始まった摘果も10時すぎに終了。「こんなにとったからとりすぎちゃったかと思った!」という中学生グループの摘果体験。実は「まだまだ」というくらい人手が必要な状態だった様子。

アマンダリーナの規格に合わなかった小さなサイズや傷がついた青みかん達は、ボランティア参加者にお土産として配られます。
小さくて若い青みかんは、ドレッシングとまではいかなくとも炭酸水やお酒に入れて気軽に楽しめるので、どんな味がするのだろうと気になる方は来夏に参加してみるのもいいのでは。
青みかんは直接食べると、ほんのりしたみかん感と、若々しくて夏を思わせる爽やかさが感じられます。フレッシュでレモンなどよりも酸味が控えめ。筆者としては「まさにアマンダリーナのドレッシング味!」という印象。

奥井さんからの情報によると、8月3日と17日で採れた量は、小山さん宍倉さんご自身で採っていただいていたあおみかんを合わせると、全部で1,200kgを超える収穫となったとのこと。それぞれ摘果の翌日に平塚の搾汁所へ運ばれています。
楽しく地域に貢献できる青みかん狩り。アマンダリーナの商品が販売されるのを見る度、「もしかしたらあの時に自分がとった青みかんかも」と、真夏のみかん畑に思いを馳せるのも楽しそう。来夏の摘果イベントは、近くなったらアマンダリーナのSNSなどで告知される予定です。
アマンダリーナ商品は横浜テクノタワーホテルや地域のイベント以外にも、オンラインでも購入することができるので、ぜひチェックしてみてください。
*料金などは取材時点での内容となります。
アマンダリーナ
公式サイト:アマンダリーナ
公式Instagram:hamandarina723
公式Facebook:hamandarina
取扱店舗:横浜テクノタワーホテル内香港飲茶レストランCORE、柴シーサイドファーム管理事務所など(詳細は公式サイトよりご確認ください)
柴シーサイドファーム直売所
住所:神奈川県横浜市金沢区柴町464
一般社団法人横浜竹林研究所(ハマチクラボ)
Instagram:hamachikulabo
ハマチクラボ代表の小林さんが経営するカフェ「こころぷれいす」でメンマとスイーツが楽しめます。
こころぷれいすInstagram:kokopure556
こころぷれいす住所:神奈川県横浜市中区山元町1-9
横浜テクノタワーホテル
公式サイト:横浜テクノタワーホテル
住所:横浜市金沢区福浦1-1-1
アクセス:横浜シーサイドライン「産業振興センター駅」から歩いて1分
リューバンカフェ
横浜テクノタワーホテル 2階
公式サイト:リューバンカフェ